掲示板(新9月)
掲示板(新9月)
物思う秋、ですね。と言いましても、ほんの少し前までは「酷暑」の最中
でした。灼熱の季候の中で、心も身体も火照っていた時が過ぎ、秋風の力
で急に醒めたる自己を取戻し始める。そうして「幻」の様に移り変わって
しまった季節が記憶の所産としてのみ、現れては消え去る。ようやく自分自
身とゆっくりと対話ができそうですね。毎年、この頃になると妙にほっとし
た気持ちになります。年の瀬に目をやれば、次第に深まるであろう月々の
色彩が楽しくも浮かんできます。「9月」は秋の始まり。それは・・・
自然と、人間と、そして自分自身と、静かに語り合うことが出来る収穫多き
豊穣の時の始まりなのでしょう。 南無阿弥陀仏
上の写真の仏様は、実は体半分が土中(セメントですが)に埋まっているん
です。うちのお寺の境内の中にあるのですが、後ろのプレートには
「雨にも負けず」と書かれています。もともと上半身だけの仏様だったの
ですが、お顔がたいへん優しい。そしてなによりも「拝まれる仏様」という
より「拝んでくださっている仏様」といったご様子です。
この仏様は、夏の間も何度もお顔を拝見さして頂きましたが、中々お声が
聞こえなかった。それが、ここ数日少し涼しくなってから改めて見つめて
いますと何やら呟かれておられるのですね。
「我深く汝等を敬う、敢えて軽慢せず。・・・」と伝わってくるんです。
まぁ、これは法華経・常不軽菩薩品に説かれております「常不軽菩薩」の
言葉でありますが。お釈迦様の前世であったともいわれる、この菩薩様は
いかなる人々に出会っても「私はあなたを尊ぶ、けっして軽んじることは
ない」と礼拝したそうです。
この仏様の穏やかなお顔を見ていると、何やらそんな声が聞こえてくる
気がする。私たちを拝んでくださる仏様・・有難いですね。
南無阿弥陀仏