掲示板(N10月)
掲示板(N10月)
ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば
父かとぞ思う 母かとぞ思う
・・・という詩には聞き覚えがあったのですが、こちらの方は、山鳥の・・
を成田 為三氏が、合唱曲にしたものだったのですね。元の和歌は鎌倉後期
に編纂された勅撰和歌集であります「玉葉和歌集」におさめられています、
奈良時代の僧侶、行基菩薩の和歌であります。衆生救済のために一人黙々と
山中で修行をする行基の耳には山鳥(雉科の鳥)の鳴く声が、そこには居る
はずもない父や母の自分を呼ぶ声に聞こえたのかも知れません。現在では山
中で姿を見ることは難しいとされています。ただ、遠くから風の音にのり鳴
く、姿無き鳥の声が、懐かしい父・母の声に聞こえたことでしょう・・・
いえ、あるいはそれはただ、風にざわめく木立の音であったのかもしれま
せん。静寂なる深き山中で聞こえる、微かなる気配でさえも、様々な様相を
もって現れて来るものですから・・・。人は静けさの中で、自らが本当に求
めているものに出会うのでしょうか・・。
十月、これから秋は深まって行きます。ほんの少しばかりの寂しさの中に
人を懐かしむ心を抱き、今日一日を名残惜しみながら過ごして行く・・・
そんな一日を味わえたら、良いかな・・・などと思っております。
南無阿弥陀仏